人生賛歌とSHOWBOY
このタイトルにするかどうか悩んだ。
「人生は素晴らしい なによりも誇らしい」とジャニーズWESTの歌詞にもあるが、私はそんな風に思えたことがない。
運が悪いくじ引きとハードモードの選択をただ乗り越えて生きてきたから。幼少期に
父親が他界してからは、日々の日常生活を送るだけで必死だった。お米がなくなって雑炊ばかり続いたり、アルバイト先でもらった麺類で夏休みのご飯を凌いできた。
目の前にある現実をただ生きていくばかりで、周りの子とカラオケに行ったり娯楽を楽しめる余裕がなかった。
漸く、自分の微々たるお金をコツコツ貯めて、コンサートで舞台に行けるようになったのは大学生になった頃だ。
それから、コンサートや舞台を観に行くための計画を立てるのが楽しくなり、一つの目標になり、労働の活力へと変わっていった。
しかし、現在も強烈な猛威を振るうコロナウイルス感染症によって保つことができていた精神衛生が崩れた。
コロナ禍で再就職したものの職場の処遇や人間関係が辛すぎて、しんどかった。追い打ちをかけるように、2か月連続で観劇予定だった大阪公演が中止になった。
舞台スマホを落としただけなのにが中止になった時は、泣いて泣いて涙の味しかしないご飯を2日連続で食べ、ふみたつ出演のアドベンチャー鬼ごっこが見られなかった。
次のSHOWBOYは、無事に大阪に来てくれるのだろうかと不安な気持ちが続いた。
神にも縋る気持ちで、晴明神社で厄除けお守りを購入し、祇園祭の厄除け粽を家に飾って7月下旬が訪れるのをただ待った。
そして、SHOWBOYを観劇した。
前日には久しぶりにネイルサロンに行った。サロンのお姉さんに「久しぶりですね!」と言われて、ちょっと恥ずかしいかった。*1
久しぶりに浴びた舞台越しのスポットライトは眩しいかった。
初演は、ストーリーと主演のふぉ~ゆ~を追うのに必死だったのに、登場人物の心情やそれぞれが抱えている背景について考える余裕が出てきた。*2
裏方は、両親が事故で死ななければステージに立っていたのだろうか。若き主演ダンサーの華やかさに負い目を感じたのだろうか。小さい頃に映画で見た俳優に憧れて人を驚かせるようになりたいと歌っていた見習いは、エンジェルに出会わなければ自信をつけることも最後の試験でマジックを成功される機会を掴めなかったかもしれない。Mr.マジックの温情があっても、無理やり気持ちに区切りをつけて下船した可能性もあっただろう。
ギャンブラーは人が良さそうなのに、「事業で一儲けしてやる」っていうちょっとアホっぽいところがある。SCENE_2を思い出せば、ええとこの子やったんかなと思った。親との確執みたいなのも感じさせる場面もあった。*3マフィアは、子どもに言えない仕事をしているのもあって、セリフの中に後悔や苦悩を感じさせる箇所があった。彼は、どうして裏の仕事に就くようになったのか。子どもにはどのように説明しているのだろうかと気になることがある*4
ドタバタの舞台を袖から見守っていた支配人は、紙吹雪の綱を引きながら何を思っていたのだろうか。主演ダンサーとショーダンサーから帽子とジャケットを受け取り、裏方(弟)に手を引かれながら大階段を下りたときにどんな顔をしていたのか。
センターに立って歌い出す姿は、堂々としてカッコいいし、自分を黒いヒヨコと言っていた彼女が白鳥になった。
シアタークリエ7月『SHOW BOY』2021年版 プロモーションビデオ - YouTube
0:38のしょこたんとふぉ~ゆ~の顔がすごくすごく好き
◆ざっくりした感想
はじめて、天井に浮いてるペーパームーン見たよ!!
あのおじさん(ギャンブラー)と少女がペーパームーンに乗って歌ってる姿尊すぎる
オープニングの出演者総出で踊るWelcome to the SHOWBOATは、圧巻。
噂の決めポーズ「セーラームーン」と「ドラゴンボール」を見られたときは、嬉しいかったね。
松崎くんへ
ピーチケパーチケの稽古場トークで「中国語で歌います」とネタバレ踏んだ時は焦ったよ。*5
恭しく箱の上で正座するディーバちゃんかわいいかったです。発音がすごく難しいのに、セリフだけなく歌にも挑戦してかっこよかった。
「新歌舞伎座で再再演したいね」って言った言葉信じてるからね。
福ちゃんへ
偉い人に届くように客席からむっちゃ拍手したよ。
裏方さんの衣装と誰もない甲板でタップを踏む場面の背中が印象に残ってます
階段から降りてくるしょこたん(中川翔子さん)を黒タキシードでエスコートしている姿が大好きです。
こっしーへ
大阪公演最終で、「大阪のことを沖縄って言い間違えて、”お"だけあってるじゃん」って言ったのは忘れません。
バク転が綺麗で、派手なスーツに負けないぐらいの華やかさと手足の長さを活かしたターンとステップに視線を奪われました。少女(桐島十和子ちゃん)とピアノの連弾をする時のおじさんの背中に当てられる照明がよかった
辰巳くんへ
エンジェル(高嶋菜七ちゃん)とのデュエットダンスは見てて、とても幸せな気持ちになりました。微笑ましさがありつつも、通じ合った心が希望にも誰かを動かす勇気になることを気づかせてくれてありがとう。見習いくんが登場するたびに「がんばれ!」「大丈夫かな?」とソワソワしてました。
カテコでのふざけまくるすり~ゆ~の手綱を自由自在に操れるのは貴方だけだと強く強く思いました。
天を仰ぎ見て、指を力強く突き上げる姿はジャニーさんにも届いているといいね
アニソンアカデミー*6
に登校していた頃は、女優さんに挑戦されていることを知りませんでした。ゲストの方を交えながら、アニソンやアニメについて熱く熱弁する声がとても印象に残っていたので。
運動が苦手なしょこたんがふぉ~ゆ~を従えて、センターで歌って踊っている。すごい!!かっこいい!
そして、空色デイズのようなパワフルで圧倒的な陽のオーラを感じさせる歌声。
比較するつもりではないけど、初演のお姉ちゃんは、気が強くて「大変だけど頑張って、やり遂げてやるわ」という自信とサバサバした感じだった。
一方、早口になりがちな声でセリフを発する場面が多かったこともあり、「常に慌ただしく船内を動き回って、大変大変どうしよう!?」でも、私が引っ張っていかなきゃという気持ちで奔走しているヒロインっぽかったです*7
しょこたんが演じる支配人は、弟の事をものすごく頼りにしていて、人の気持ちに寄り添って、周りを味方につけて、その輪を大きくすることで巻きこんでいくことができる支配人だと思った。
クライマックスに向けて盛り上がるステージと楽曲に興奮しながらも、幕が閉じてしまうことの寂しさ。
SHOWBOYに出てくる登場人物は互いの苦労や喜び、困難を共有し一つのステージを成功させるために団結する。人の優しさにあふれている。それに触れると涙が出てきそうになる。私の日常生活(主に職場で欠けている人を思いやって、優しくする気持ち)で飢えていたものを持っている。
どんなに仕事に行くのが嫌いでも、家庭事情がしんどくて誰も助けてくれなくて辛かった日もいつか笑い話になればいいと思う。
だって、SHOWBOYを見た後はすごくすごく元気になった。鼻歌を歌いながら軽くスキップしながら地下鉄の通路を歩いた。憂鬱な月曜日も劇中歌を思い出しながら、舞台で気なる箇所をメモしながら仕事ができたし、QOLが爆上がりする。
レベル(年齢)が上がるごとに、SHOWBOYが持つメッセージと登場人物が抱えている悩みを自分の悩みや苦労と重ねることができる。視点が変われば、もっともっと舞台の見方も変わっていくだろうし、「あの場面のセリフをもう一回見たい」「ポールダンスとエアリアルのパフォーマンス・・・」と欲が出てしまう。
もう一回見たいと思えるぐらいの余韻がちょうどいいのかもしれない。
そんな大切さを教えてくれるSHOWBOYは、いくつもの奇跡が重なって生み出される物語だ。いつ公演中止になるか分からない状況の中で、最後の寄港地「名古屋市公会堂」で大千秋楽を迎えた。*8
本当に本当にお疲れ様でした。
そして、ロンTの受注生産ありがとうございます!!