きままな備忘録

ジャニーズと発達障害のかけもちLife ヲタはやめられない

舞台スマホを落としただけなのにと私

まえおき

4月18日は私が楽しみにしていた舞台鑑賞の日だった。先々週も舞台を観に行く予定をして、今月お財布がピンチになりそうと嬉しくも複雑な心境。

ふぉ〜ゆ〜の個人主演舞台を見に行くのが初めてだったので、すごくすごく浮かれポンチ。*1

そして、その日は私の誕生日でもあった。

チケット当選のメールが届いた瞬間から絶対に記念に残る日にしたい。誕生日に現場があるなんて滅多にないので、ヘアセットやら新しい洋服、ネイルなどとびっきりのお洒落をして、その日を迎えようとしていた。

しかし、

3/27 東京公演3月30日以降全休演のお知らせ

4/8  大阪公演  全休演のお知らせ

が発表された。その前から東京では土日の外出自粛が要請されて土日公演のみ中止となっていたが、結局は後半公演は中止。

4/7に緊急事態宣言が発表される前に「悪魔の毒毒モンスター」の公演中止メールが届いたので、ある程度覚悟は出来ていたかも知れない。*2そして、4/8 大阪公演全休演のお知らせと払戻案内のメールが届いた。

本当に悔しくて、辛い。

毒毒モンスターの公演中止が決まった時とは違う感情で胸がいっぱいだった。

 

※舞台の感想を書くことができればいいのですが、公演が中止となり見ることができなかったため、パンフレットや舞台脚本を通して、感じとったことを纏めています。

 

 

3/17 辰巳くんLINE LIVE個人配信

無料配信やアフタートークを通して、舞台に関する熱い熱い思いを語ってくれた。

「映画とはだいぶ異なるし、意識しないで見てほしい。オリジナルの役柄にオリジナルストーリー、会話劇を通しての掛け合い、その場の雰囲気やぞわぞわ感を楽しんでほしい」という言葉を聞いて、意気込みや挑戦がすごく感じられました。色々な人に作品を見てほしいという思いが届かなかったのは凄く凄く悔しいだろうなと。

youtu.be

元になる設定は変わってないものの、「舞台版 加賀谷学の設定」をまだ幕が上がる前なのに、アフタートークで壮大なネタバレを踏むことになるとは思いませんでした。

 

どうしてここまで『舞台スマホを落としただけなのに』の観劇に拘るのかと言うと、辰巳雄大さんが演じる加賀谷学がマイノリティ側の人間だから。

 私にとっての舞台スマホを落としただけなのに感想と考察の全てにおいて、上記のキーワードを重視しています。それについては、追々書きます。

パンフレットや台本を通して感じたこと

舞台のグッズに台本があると聞いて購入するのを楽しみにしていましたが、パンフレットの通販が開始されたものの、スマホリングや台本はありませんでした。

幸いなことに台本は1冊お譲りしていただく事が出来たので本当に嬉しいです。

台本にたくさんの書き込みや付箋が貼ってあるのかと思ったりすると(涙)

加賀谷を演じる辰巳くんが、「どういう思いで役作りに挑んだのか」や「正反対の彼に対する印象」が知りたかったのでパンフレットには少し期待をしていたのですが、思うような答えは見つけれなかった。STAGE Squareなどの舞台関連雑誌には書かれていたのかな?(当方は雑誌をあまり買いません)

役柄ばかりに焦点を当てている訳ではないが…

しかし、「初めて演じる役ですごく新しいことをやっている。ワクワクしている」という一文を見つけた時は、役者 辰巳雄大の新たな挑戦や新境地を開く作品になるのかなと思った。それと同時に、陽の気が強い彼が陰のオーラが強い役を演じることで見る側にギャップを抱かせてくれるのかなとの期待も感じられた気がする。*3

見に行けなかった分、台本を通して舞台の世界観を知ろう/意識を飛ばそうと努力したが難しいかった。文字で感じ取るのと客席に座って見るのとは違う。

また、台本の内容を視覚的に変換するのに必要な詳細がない中で、想像力(映画をみたときや原作を読んだ時のスリリングさを思い出しながら)をフル稼動させて、「面白さや人間の深層に潜んでいる正直な感情や欲望や憎悪が入り乱れた」文章を読むのはすごく疲れた。

でも、すごくすごく面白い。

舞台上の空気や音響・間の取り方・セリフを発する時の口調・視線や動きを実際に感じられなかったので、本当に辛い。

また、加賀谷とハチバンの抱えている孤独や誰にも理解されないという気持ちが互いに結びついて生まれた感情や他者への共感が「自分のものとして習得」でき、加賀谷の心の成長や社会性を促す点では、この設定でもよかったのかなと思ったりもします。

 

舞台版の加賀谷と私の接点

私は、舞台版の加賀谷と同じアスペルガー(自閉症スペクトラム)の診断を受けてます。

実際に知らない方や接した方も多いと思うので、東京都自閉症協会のリンクを載せておきます。いくつか気になるところもありますが、敢えて触れません。

www.autism.jp

診断がついてから十数年の付き合いがあり、小学校から大学まで通常学級で過ごしてました。どちらかと言えば、マイノリティに属していると思います。

加賀谷くんのようにバリバリ自分の得意分野を活かして仕事ができるスペックは持っていない。

まさか、共演者の方から「辰巳くんが演じる加賀谷学はアスペルガーの青年」「人間 加賀谷学の成長」という結構重要な事をサラッと言われて、驚きが隠せませんでした。

「その設定は幾ら何でも難しいんじゃないの?」「えっ、どういうこと?」「アスペルガーって…」色々突っ込みどころがあり過ぎて、アフタートークの前半を見返す事が出来ません。私自身、その単語に関しては人一倍過敏に反応してしまうので、チクりと自分の事を言い当てられた感じがして、怖いです。

今回の舞台は、そういった点からもすごく興味がありました。なによりも今までジャニーズの方が演じてこられた役とは違って、「馴染めそうで馴染めなくてでも日常にはいるかもしれない」側の人間を取り上げてくれたことが嬉しいかったです。

発達障害」という言葉が先行して注目される一方で、その本質や当事者を取り上げた作品というのは少ないです。(今回の舞台内容と直接的な関わりがあるかと言われると半分半分)

台本を読んでいてすごく共感できる点や過去や現在の自分を見ているような感覚になりました。

知らない間に傷つけたり、悲しませたりする

だから未だに理解されない、家族の誰にも

自分で自分を制御するために手錠をかけた

今までドラマやアニメを見て、泣いたことがない。周りに合わせるに苦労した

『舞台スマホを落としただけなのに 台本』抜粋

「未だに理解されない、家族の誰にも」という台詞は甘えだと言われたり、家族の理解がなかったり、職場で受け入れてくれなかったり、自分の困り具合を上手く伝えられなかったり障害があるように見えないと言われたことを思い出したり、心無い言葉で傷つけられたりしたりした経験があったり、現在進行形で悩んでいるツィートを見かけます。(主に発達垢のほうで)

また、「ドラマやアニメを見て、泣いたことがない」にも衝撃を受けた方がいらっしゃるようですが、特性に関しては人それぞれで一概には言えません。

「鍋は食べられません」はよくあることだし*4自分の得意分野に関することは早口だったり、興奮したり、饒舌に話すのかなと(普段のたどたどしい会話に対してのギャップ)発達障害ならではの視点を通して考えるのも面白いなと。

 

話を戻すと、彼は自分で自分の生き苦しさや違和感に気づき、デジタル空間という居場所に逃げ場を求めた。結果として、居場所が見つけれたことでこういった仕事に就くことができて、思いとどまることができる判断をできたってかなりの事です(尊敬できる)

加賀谷が抱える苦悩や葛藤は過去・私を客観的に映し出す鏡にもなりうる可能性もあったかもしれない。さらに、自分の特性や他者からの見え方を客観視できない「私」や「当事者」の視点を知ることができるかもしれないという期待を抱いていましたが、見ることもできず。

 

見に行く事が出来なかったので観劇感想を書いたブログを探しました。けれども、なかなか見つからなかった。Twitterも少なかった。

主とした感想や考察はこちらを見てほしい。

kyanakoforyou.hatenablog.com

 

マジョリティにもマイノリティにもなる可能性だってあるし、知らない立場を知る機会を失いたくはなかった。そして、マイノリティにスポットライトを当てた演劇作品が日本でも取り上げられるようになってほしい。

発達障害という言葉だけではなく、周りでちょっと困った方に対する寄り添い方や変な誤解を生まないように知ることが大切になってほしい。

パンフレットを代理購入していただいたり、台本を譲っていただいたフォロワーさんに最大の感謝を込めて

*1:トリッパー遊園地は出演だし、阿呆浪士も見に行ってない

*2:毒毒は消毒や検温、問診票の記入(大阪のみ)など、安全に留意した形での公演開催を考えてくれていたので、非常に残念

*3:5/1 辰巳くんLINE LIVE個人配信参照 https://www.johnnys-net.jp/page?id=4ull_archive

*4:比喩表現が分かりにくい。言葉の意味を言葉通りに受け取る。「真っすぐ家に帰って」が分かりやすい例